なでしこリーグの「放送」について考えてみる

かつては地上波テレビ放送が大きな比重を占めたサッカーの放送も、現在ではBS、CS、ネット、ラジオなど様々な方法で配信されるようになりました。


2016シーズンはスポナビライブがなでしこリーグの放送権を持ち、各節いくつかの試合の中継と、ゴールシーンを中心としたハイライトの放送を行ってくれていました。

ところが2017シーズンを前にスポナビライブからリリースされた放送予定にはなでしこリーグが全くなく、リーグHPでは開幕の5日前になっていきなりスポナビライブとの契約終了が、下記の分かりにくい表題の中に埋め込まれた形で発表されました。

2017プレナスなでしこリーグ1部 テレビ放送のおしらせ

同時期に、2016シーズンのハイライト動画も全て削除されました。個人的にはこれが一番悲しかった・・・(´;ω;`)

リーグの情報発信は遅すぎる(個人のスポナビとの契約期間にも影響するだけに)し、ギリギリまで交渉していたにしてもこれでリーグの一括権利購入・放映がないままシーズンに突入することになってしまいました。これもオリンピック予選敗退による観客減に起因した現象の一つなんでしょうか・・・。


各チームも何もしなかった訳ではなく、特にINACさんは自前の「INACTV web」で、ホーム全試合に加えアウェーに乗り込んでのライブ配信、また所属選手が登場してサポの質問に答えたり活動報告を頻繁にアップするなど、この辺は他の追随を許さない充実ぶりで羨ましい限りです。また、14節の伊賀FCくノ一 vs AC長野パルセイロレディースでは、地元ラジオ局の中継をネット経由で聴くことが出来、映像は無くても相手よりの副音声だけ聴いているような感じで楽しませていただきました。また、他のチームも、ホームでの試合を公式YoutubeやHPで録画公開されています。

私が応援しているAC長野パルセイロレディースについてはどうかというと、公式Youtubeはあるにはあるものの、Jチームと一緒になっているデメリットが出ていて、上げられる動画はほとんどがトップチームのものであり、レディースは開幕前にアピール動画を少し上げただけで、シーズン中は横山選手ラストゲームの煽り動画(30秒、前の試合のゴールハイライト)が一つのみ。これは非常に寂しい。勿論、試合のライブ配信はありませんでした。ローカル放送局での中継も、記録を見る限り今年はテレビ信州による9節の中継放送のみと、試合に行かれないサポへの情報発信は公式HPとTwitterのみです。試合中にライブで情報を得る機会は、アウェーの方が多いという状況です・・・。

かと言って、長野の運営の努力不足だと言う気にもなれません。というのも、なでしこリーグの公式Youtubeチャンネルが全くやる気の見えない状況だからです。2015年年末に動画をアップして以降1年半以上放置プレイかと思ったら、担当が怒られたのか7/30にリーグカップ準決勝告知、8月にはリーグカップ関連の動画を決勝ハイライトまでと、リーグ戦1~4節のハイライト動画をアップ。そして再び休眠し今に至っています。何より悲しいのが、チャンネルのトップに表示されるのが、今はもう開催していない「なでしこリーグオールスター」の2014年のプロモーション動画。とてもひとつのスポーツの最高峰リーグの公式の仕事とは思えません。


現状の振り返りと愚痴が長くなってしまいました・・・。

更に細かい事情については、こちらのブログに詳細が書かれています↓

【個人でリーグの放映権は買えるのか直接聞いてみた】
「スポビジ大学 〜スポーツを仕事にする起業家の為のサイト〜」内、宮城奈津子さんの記事

http://supobiz.com/2017/10/24/3-201/


状況は、かなり深刻です。

2017シーズンは、観客動員数トップの長野や2位のINACさんでさえ、平均で2,200人強。リーグ全体の平均だと、ピーク時の半分まで落ち込んだという情報も目にしました。東日本大震災の後、世界中に感動を与えた世界一から6年。流行り廃りの激しさとはいえ、ここまで急激に落ちるとは。長野も2年連続でトップとはいえ、数字的には700人以上減っています。

来てくれるサポを大事にするのは勿論ですが、試合に行かれずとも結果を気にしてくれているファン、行きたいけど行ったことないし・・・という人に、中継で試合の様子を見せるというのは集客やチームへの関心を繋ぎとめる意味で非常に重要だと思います。

さて、出来ることは何かと考えると、上記に引用させていただいたブログにこのような記述が。

なでしこリーグ1部、なでしこリーグ2部、チャレンジリーグすべての放映権を買う場合は、毎年局との交渉になります。 なので、いくらとは言えませんが、、、これまでの参考で言いますと三千万円くらいにはなるかと思います。

チャレンジリーグまでの包括ということでしょうが、単純に3千万円をなでしこリーグの5試合×18節=90試合で割ってみると、1試合あたり33.3万円。バラ売りだと45~50万になるでしょうか。ただしこれは権利だけであり、実際に放送するレベルにするにはカメラの台数×機器レンタル・カメラマン、スイッチャー、実況が必要な場合は実況など様々な経費が掛かります。ローカル放送局の場合はカメラ等自前ですのでだいぶ抑えられると思いますが、それでもTV放送が無いということは、スポンサーにとって旨味がない&視聴率が望めないということなのでしょう。現実的なのは、チームがなでしこリーグから放映権を買い取り(本来ならリーグが放映権のセールス失敗してるんだからタダでも出せと思いますが・・・)、INACさんのように自前で配信することが一番手っ取り早いかと思います。その中で経費を抑えながら、集客が見込める上位との対戦カードをTV局に売り込む(ネットやらない世代の方には、まだまだTVの力は絶大です)くらいかなあ。

そんな資金何処にあるんだと言われれば、多分無いんでしょう。ですので、

①1試合毎のカードに「〇〇プレゼンツ」と冠スポンサーを付け、ポスター・マッチデープログラム・場内アナウンス・招待席などで優遇する

②今年導入されたリターン付きのクラウドファンディングを使う

などで、資金を作る必要があると思います。

①の場合は、なりふり構わずであれば企業・団体・個人問わず。地方競馬の冠レースで数年前からあったと思います。ただ、この辺は最終手段。

②の方がてっとり早い気がします。今年春に行われた「米国大学留学キャンプセレクション」のクラウドファンディングでは期限日を待たずに目標金額を達成。数種類用意されたリターンの中でも、本田監督のサイン入りボールは凄い勢いで埋まっていった記憶があります。お金をかけなくてもサポーターにとって価値のあるリターンであれば、ホーム全試合のネット中継放送経費くらいは何とかなるんじゃないかなあ。

他にも手段はいくつかあると思いますが、この状況が何年も続くことが一番怖い。知恵を出し合い、時にはお金も出し合ってでも、現状を打破しないとどんどん厳しくなると思います。本当は一括で購入・放送してくれるCS局とかネット配信があれば良いんですけどね。abemaとかDAZNとか。有料でも無料でもいいからホント何とかしていただきたい。

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