パルセイロレディースの2017年は、先日の皇后杯準々決勝敗退で全ての公式戦が終了しました。
全公式戦の勝敗、出場記録、得点・アシストなどから、今シーズンの歩みを少し振り返ってみたいと思います。
下の画像はエクセルのスクリーンショットで細かいので、PCで拡大表示することをお薦めします。
こちらが、今シーズンの全公式試合出場時間表です。
種別はL=リーグ戦、LC=リーグカップ、皇=皇后杯の略です。H/Aの「N」は中立地開催の略です。観客数はホーム及び2ndホームの佐久(皇后杯の佐久開催は厳密には中立地開催扱いだが、数値入力)のみ記入。GK、DF、MF、FWの表記は公式HPに従い、シーズン中のポジション変更には対応していません。オレンジ色のセルは先発出場です。また、ロスタイムの交代・出場は0分記入です。0と書かれていても実際は数分プレイしていることがほとんどです。また文章内で触れているアシストについては、公式記録を元に私が独自に集計したものです。
全公式戦の出場時間の上位を見ると
1位:小泉選手(2590分/29試合(全試合出場))
2位タイ:國澤選手(2550分/28試合)
2位タイ:坂本選手(2550分/28試合)
4位:泊選手(2367分/28試合)
5位:木下選手(2339分/27試合)
6位:齊藤選手(2144分/24試合)
ここまでが2,000分を超える出場時間の選手です。
表にするまで、#17小泉選手が全試合出場だとは知りませんでした。2得点2アシストを記録し、不動の左サイドバックと言えるでしょう。#6國澤選手と#7坂本選手と#14泊選手は、共にリーグカップ敗退が決まっていた最終戦を欠場した以外、全試合出場です。3選手も主力中の主力と言って間違いないと思います。
#5木下選手は出場試合は非常に多いですが、シーズン序盤~中盤はセンターバック、終盤は守備的MFでの起用が目立ちました。中盤での起用は昨シーズンもありましたが、継続して中盤で使われたのはここ最近だと思います。
#11齊藤選手はずっとフル出場を続けていましたが、アシストも記録したアウェーでのちふれASエルフェン埼玉戦以降、試合から遠ざかっています。戦術的なものなのかケガなのか。個人的には代表レベルのポテンシャルを持つ、応援している選手の一人なのですが、ポジションを下げたことによるものか疲労からなのか、精彩を欠く試合が多くなった気もします。リフレッシュしてまた元気にプレーする姿を見られることを願っています。
また、出場時間は1226分ですが、途中加入以降14試合中13試合に出場、内12試合フル出場の#22中野選手も主力中の主力と言って過言ではないと思います。記録した4得点も同点弾、先制点、同点弾、決勝点と価値あるものばかりでした。
もう一人、忘れてはいけないのが6月にチームに関わる全ての人の後押しを背に女子ブンデスリーガに旅立った#10横山選手。珍しくゴールから遠ざかる時期もありましたが、出場10試合で10得点6アシストは文句なしの成績。チームのプレースキッカーでもあった彼女の離脱は、単に得点源が抜けるという以上の喪失をもたらしました。ちなみに、横山選手の1.FFCフランクフルトへの移籍は、レンタルです。以前機会があったので美濃部GMに「(横山選手が)あまりにも活躍して先方が完全移籍を希望した場合、買取オプションとかあるんですか?」と質問したら「決定権はこっちにありますから!」と、ちょっとキレ気味にお答えいただきました(笑)
GKに関しては、リーグ戦では#31望月選手が主力、カップ戦では3人が出場を分け合うような構図になっています。失点率(90分あたりの失点数)を見ると
望月選手 0.98(1830分出場/20失点)
池ヶ谷選手 1.77(355分出場/7失点)
林﨑選手 1.98(455分出場/10失点)
対戦相手が違うので一概にこれで優劣は判別できませんが、特にシュートストップに関しては望月選手が本田監督の信頼を得て、多くの試合に出場しているように見えます。
また、この表を見ていると非常に特徴のある起用をされている選手が何人かいます。
#19藤村選手は7/8のジェフL戦までは16試合中3試合(全て途中出場、計31分)しか出場がありませんでしたが、この試合の後右サイドバックの練習を始め、いきなり7/16のベレーザ戦で先発起用、フル出場します。ベレーザも容赦なくこのサイドを攻撃し、今季最多失点となる0-4の大敗を喫しますが、その後も右サイドバックでの先発起用が多くなった藤村選手は徐々に適応し、ホーム最終戦のノジマステラ戦では守備の進歩だけでなく幾度となくサイドを突破し攻撃のサポートも進化を見せてくれました。
#20内山選手は昨年と同様途中出場が多く、途中出場回数19は断トツのチームトップです。交代選手には向き不向きがあると私は思っていて、テンションや戦術理解が追い付かないまま試合に出るとチームの一体感を乱したり、時には失点の原因にさえなる(先日の男子サッカー日本代表、ベルギーvs日本戦の失点シーンのような)こともあり、内山選手は「試合に途中から違和感なく入り、チームの活力となる」能力が本田監督に認められているのだと思います。転機が訪れたのはアウェーのリーグ16節ちふれASエルフェン埼玉戦。チームが0-1で押し込まれ嫌な流れの中投入された内山選手は、左サイドで果敢な仕掛けを見せ、流れの中からは久々の得点となる中野選手のゴールのキッカケを作りました。試合はその後1-2で敗れましたが、このチャンスメイクが評価され、次節のホーム、ノジマステラ戦では16試合ぶりの先発出場。ウッチーも起用に応えゴールし、3-0快勝に貢献しました。これ以降皇后杯準々決勝まで5試合連続先発フル出場を続けました。シーズン終盤を象徴する存在になったと思います。
もう一人、シーズン終盤に起用が増えたのが#23鈴木陽選手。4/29ベレーザ戦でのロスタイム出場以降長らく出番がありませんでしたが、内山選手と同じくちふれASエルフェン埼玉戦で途中出場、以降のリーグ戦2試合も途中出場。皇后杯では2試合で先発し1得点を記録しました。チーム期待の若手であり、シュートの精度や状況判断にはまだまだ成長の余地を残していますが、長身と長い手足を巧く使ったボールキープ、柔らかなトラップは継続起用を期待させるレベルだと思います。来シーズンは更なる飛躍の年にしてほしいものです。
ここまで個人の出場時間を中心に見てきましたが、チームのシーズンを通しての傾向として気になることがあります。
チームの中心だった横山選手の移籍後にチームが苦しんだのは御存じの通りです。一方、試合内容をさておいての乱暴な見方で恐縮ですが、スコア的な面で見ると
・1点差以内の試合:5勝6分け10敗
・2点差以上の試合:6勝0分け2敗
・ロースコア(1-0、0-0、0-1)の試合:2勝5分け3敗
接戦を多く落としていることが分かります。特に相性最悪の5戦全敗となったジェフL相手には1-2、1-2、1-2、0-1、0-1と全て1点差で落としています。横山選手移籍後の得点力不足に起因する面もありますが、一番上の「1点差」試合の10敗のいくつかを引き分けに、6引き分けのいくつかを勝ちに持っていけるようにするのが、再び上位を窺う上でカギになるのではないかと思います。
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